未来の世代のために歩みだそう

2013 9月 30日
by akihisa

9月28日の新聞各社が、国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第1作業部会の第5次報告書発表の記事を掲載した。第1次作業部会は、温暖化の科学的根拠を明らかにする部会だが、今回の報告書では、「人間の活動が温暖化の主要な原因であるとする可能性」を、2007年の第4次報告書の「90%以上」から「95%以上」にさらに高めた。2008年に起こったリーマン・ショック以後、世界の人々の関心は経済に移ったが、しかし、近年の歴史的記録を更新するような高温や干ばつがあいついだことから、あらためて、温暖化問題に関心が戻っていると思われる。

このブログ「みどりとみず」をご覧いただいているみなさんは、「温暖化防止を積極的にすすめよ」というお考えの方がほとんどだと思うが、温暖化そのものに懐疑的な方や温暖化防止の対費用効果がどうなのかと思う方たち(慎重派)もいらっしゃる。国民の中にあるさまざまな考え方を広く聞き取り、どうすれば折り合いをつけていけるのかを明らかにしているのが、この新書だ。

「異常気象と人類の選択」角川SCC新書

著者は、国立環境研究所の江守正多氏だ。IPCC第5次報告書の執筆者でもあり、この報告者が出される少し前にこの本が出された。一番「なるほど」と思ったのは、温暖化対策に「積極的」な人は、未来世代のことを考える「使命感」を前提にしているのに対し、「慎重」な人は、「経済価値」に重点を置いているので、議論する「フレーム」(枠組み)が違うということだ。「慎重派」を説き伏せようとしても議論がかみ合わないのだ。江守氏は、温暖化対策を取らない場合の「リスク」に注目し、「慎重派」をも納得させる折り合い(一致点)を見い出すことが現実的な方法だと述べている。「慎重派」を「けしからん」と嘆いていてもだめなのだ。温暖化にとどまらず、現代社会には、単純に「正しい」「間違っている」と判断できない事象は多々あると思われる。「納得」と「合意」を形成するすべを私たちは身につけないといけないのだと痛感した。

3 Responses leave one →
  1. 10月 9, 2013

     こんにちは。お久しぶりです。
     タイトルの「未来の世代のために歩みだそう」と、本分の主旨「『納得』と『合意』を形成するすべを私たちは身につけないといけない」のギャップを感じます。
     タイトルに合わせると、本文は、温暖化を2度C以内に抑えるために、国際機関や国内機関、個人のとるべき行動を提起する内容になるはずです。
     以前、似通った趣旨のコメントを書いたら、「タイトルが不適切でした」という内容の返事をもらったことがありますが、そのとき私は、タイトルに合った本文にしてほしいと思いました。
     温暖化対策は、もはや一刻の猶予もならない事態となっていると思います。今後、地域戦争による死傷者数を上回る被害者が地球温暖化によって生じる可能性があります。
     環境問題に長年取り組んで多くの実績をつくっているみどりとみずは、個人のとるべき行動、国内・国際機関に働きかける行動を提起し、その先頭に立って頑張ってもらいたいと切望します。

  2. akihisa permalink
    10月 9, 2013

    くずはらさま

    コメントありがとうございます。
    IPCCは、温暖化の科学的根拠、影響、緩和策を提示する機関であり、著者の江守さんのスタンスは、もちろん温暖化の事実を認め、温暖化防止のために人類が行動を起こすべきことを提唱しています。しかし、江守氏は、“議論している余裕はない。懐疑的な人はほって置いて、差し迫った温暖化の危機回避のためにただちに実行に移すべきだ”とは思っていません。彼は、地球が温暖化していることに確信を持っているからこそ、懐疑派の人たちを「納得」させ、国民的「合意」と得て、政府を動かすべきだと言っているのです。私は、この民主主義を貫く姿勢に感動したのです。私は、正論を唱え続けることは大事だと思いますが、意見の違う人の言い分を聞かない、あるいは聞いても、論破して勝ち誇るようなやり方はしたくありません。以前、養老孟司さんの「バカの壁」がベストセラーになりました。「バカの壁」がある以上、「人はわかりあえると思うのが間違いだ」というのが主旨だったと思いますが、社会に働きかけ、行動する人は、“わかりあえない”とあきらめてはいけないと思います。対話を積み重ねれば、わかりあえると思います(OECD調査で日本の大人は「読解力」と「数的思考力」でトップになりました)。この著書をお読みいただければ、“未来世代のため”にという一点で懐疑論に囚われている人々をも私たちの味方にできる展望が見えてくると思います。

  3. 10月 14, 2013

    akihisaさん

    私のコメントを曲解されているようです。

    >私は、正論を唱え続けることは大事だと思いますが、意見の違う人の言い分を聞かない、あるいは聞いても、論破して勝ち誇るようなやり方はしたくありません。

     ↑これでは、私が「意見の違う人の言い分は聞かない・・・」と言っているようですが、私はそんなことは言っていませんよ。

     みどりとみずは、各種機関への働き掛けや独自の行動でも、温暖化対策の先頭に立って頑張ってほしいと言っているだけですよ。あなたの記事を否定しているのではなく、具体的行動の提案と実践も行ってほしいと言っているのです。

     また、「タイトル」は、本文の主旨や特徴を表すものだと思いますが、タイトルの「未来の世代のために歩みだそう」が、本文の中に表現されていないこと(=本文の主旨や特徴がタイトルになっていないこと)について、ギャップを感じると言っているのです。この記事の本文にタイトルを付けるとすると、「温暖化対策を取らない場合の『リスク』に注目―江守氏が新書で」とか、「複雑な現代社会で、納得と合意を形成するすべを身につけよう」とかになると思います。

     実は、akihisaさんが、みどりとみずの事務局長だと思い込んでいたため、最初のコメントを書く気になったのですが、事務局長を交替したことを後でうかがいました。そのことを知っていたなら、書かなかったかもしれません。(みどりとみずの総会決定や選出役員について見ていなかったのです。会員に連絡していないのでは?)

Leave a Reply

Note: You can use basic XHTML in your comments. Your email address will never be published.

Subscribe to this comment feed via RSS

Current day month ye@r *